転職活動において最も大切なのは実は「探し方」にあるというのはご存知でしょうか。皆さんは転職というと書類の書き方や面接対策が重要と思われるかもしれません。
もちろんそれらはとても重要です。しかし、もし仕事の探し方が間違っていたとしたら…?せっかく立てた対策がすべて無駄になってしまう!……なんて怖い結末を迎えることになってしまうかも。
「どうやって転職先を探せばいいの?」「求人を見るときのコツは?」など、この記事では皆さんが疑問に思っている、求人の探し方や選び方、また見極め方について解説しています。
実際に自身で転職を3回経験し、また上場企業で採用担当として年間で書類選考3000件、面接500人を見てきた筆者がこれらの疑問について回答します!
転職に失敗しないためにも、ぜひチェックしてみましょう。
この記事を読むとこんなメリットがあります!
・求人の探し方がわかるので、狙うべき求人媒体・転職エージェントを見つけられる。
・仕事を選ぶ基準がわかるので、自分に合う仕事探しができる。
・応募先企業を見極める力がつくので、ブラック求人に騙されない。
求人の探し方は大きく4つ
まずは、世の中にどのような求人が出ているのかを知ることが必要です。企業が人材を募集する際、初めに行うのが自社ホームページへの求人掲載です。しかし、この方法ではよほどの大企業でない限り短期間で応募者数を確保するのが難しいため、一般的には次の4つのルートから求人広告を掲載します。
それぞれに特徴がありますので、企業側の本音とともにご紹介していきましょう。
どの媒体にどんな求人を掲載するか。
そんな企業側の意図を知ると、狙うべき媒体がわかるわよ!
ハローワーク
言わずと知れた職業安定所のことです。ハローワークにはあらゆる業種・職種の求人が集まっており、まずは目を通しておきたい媒体の一つです。どれだけの求人が集まっているかというと、「東京都・正社員」だけでもざっと38,000件。求人サイト最大手のリクナビネクストの15,500件と比較しても約2.4倍です。
理由は明白、ハローワークへ求人を出すのに費用が一切かからないからです。決まったフォーマットを提出すれば、早くて即日には求人が公開されるというのも企業にとっては魅力です。なかにはハローワークの職員と懇意にし、自社の求人をプッシュしてもらう企業もあります。
一方でハローワークの求人票は誌面にかぎりがあるため、あまり多くの情報は載っていません。応募したい企業を見つけたときは、併せて会社ホームページなどでも調べてみましょう。
また無料で掲載できるがゆえに、ブラック企業が隠れている恐れもあります。実はハローワークの求人票は原則3ヶ月という掲載期間が決まっているのですが、FAX1枚で簡単に更新ができますそのため、採用した人がすぐに辞めてしまうような会社ではずっと求人が出ているということも。転職を考え始めた早い段階から、求人票をチェックしておくと良いでしょう。
メリット
- 他の媒体に出ていない求人に出会える可能性がある
- 地方は特にハローワーク経由の採用率が高い傾向がある
- ハローワークの担当者が力添えしてくれるケースがある
デメリット
- 求人票に掲載されている情報が少ない
- ブラック求人が隠れている可能性がある
求人雑誌(フリーペーパー)や新聞の求人欄
数年前に比べて数は減りましたが、求人のフリーペーパーは根強く残っています。また、新聞の求人欄や家のポストに投函される広告などの紙媒体でも求人を見つけることは可能です。
広いターゲットに訴求するだけあって、掲載されている求人もパート・アルバイトや看護師などの専門職に二極化しています。また、また、他の媒体に比べて求人数が少ないため、これをメインに考えていくのはあまり現実的ではないでしょう。
ただし、都市部以外ではフリーペーパー経由の採用はまだまだ強いため、媒体が手に入る環境であればチェックしない手はありません。最近では媒体と連動したWebサイトも普及しているため、こちらをチェックするのも良いでしょう。
メリット
- 未経験OKの求人が多い
- 地元採用に強い求人が載っている
デメリット
- 求人の掲載数が少ない
- 職種に偏りがある
転職サイト
「リクナビNEXT」や「doda(デューダ)」などの転職サイトは、転職活動において最も肝となる媒体です。ハローワークに続いて求人数が多く、情報量が多くわかりやすいのも転職者にとっては嬉しいところ。
職種や勤務地だけでなく、年収や年間休日などでも検索できるので、こだわりが多い方でも仕事を探しやすいでしょう。
また企業側にとって転職サイトは掲載料金がかかりネックではあるものの、「短期決戦で絶対に採用を決めたい」という高い意思を持って使う媒体です。採用すること自体には費用がかからないため転職エージェント経由の応募と比べるとハードルが低く、未経験でも採用のチャンスが。
ハローワークと異なり、リクルートなどの運営会社が求人広告を作ってくれるので、忙しい人事担当者にとってもありがたい転職サイトです。転職サイトだけに求人を掲載するという企業も多いので、転職活動をする上で外せない媒体でしょう。
メリット
- 求人数が多く、情報量も多く見やすい
- 検索軸が多いので、自分に合った仕事(会社)を見つけやすい
- ここにしかない求人がある
デメリット
- ライバルが多い
- あくまでも求人「広告」なので良い面がクローズアップされている
転職エージェント
転職エージェントに馴染みの薄い方でも、名前は聞いたことがあるかもしれません。エージェントとは、代理のこと。つまり転職エージェントとは、あなたに代わって転職活動が円滑にいくようサポートしてくれる存在のことです。
個人で活動していては知り得ないような情報、例えば面接で聞かれる質問や社内の様子を教えてくれたり、代理で年収交渉をしてくれたりします。
さらに、自分のキャリアに自信がない人には活躍できそうな会社を紹介してくれたり、やりたい仕事が定まっていない人に対しては職務経歴書を添削してくれたりと至れり尽くせりです。
これだけ痒いところに手がとどくサービスなのに、なんと利用料は無料です。なぜなら、転職エージェントに紹介手数料を支払うのは採用する企業側だからです。紹介手数料の額は採用する人のおよそ20〜30%ですから、決して安くはありません。
なのになぜ企業が転職エージェントを使うのか。1つは求人自体の秘匿性です。世の中には人を採用したいけれども採用活動を知られたくない企業や職種というものが存在します。俗にいうシークレット求人というのがこれに該当します。
もう1つはより優秀な人材を高い確度で採用したいからです。経験豊富な人材を採用する場合、当然他の企業と取り合いになることが想定されます。そんなケースでは、自社に入社してもらうために転職エージェント協力のもと、強くクロージングをかけることになります。
エージェントにとってお金を払ってくれているのは企業側ですので、場合によっては求職者の意向よりも採用企業側の意図を汲み取ることもあります。自分が求職者の立場でエージェントを利用する場合、最終決定をするのは自分なのだという強い意志を持って就職先を決められるかどうかが重要になります。
転職エージェントはうまく活用すればこれ以上ないほどの効力を発揮しますので、下記の記事と併せてチェックしてみてください。
メリット
- 自分に合った求人を紹介してくれる
- 強みを見つけたり、職務経歴書を添削してくれる
- 自分に代わって交渉してくれる
- 質問しづらいこともエージェントを通して聞くことができる
- シークレット求人に出会うことができる
デメリット
- 企業側の意図を優先することがある
- 担当者の当たり外れがあるケースがある
応募先を選ぶ基準は「仕事軸」×「プライベート軸」から導き出そう
求人票を見つけたら、いよいよ応募先を選んでいく段階です。応募先を決めるに当たって大切な基準は、「仕事軸」と「プライベート軸」の掛け合わせです。
仕事軸では「やりたいこと」「できること」「ニーズ」を考えよう
転職を考える際、真っ先に頭に浮かぶのは「やりたいこと」でしょう。夢や希望を持ってやりたい仕事を叶えるのは素晴らしいことです。長い仕事人生、少しでもやりたいと思える要素がなければ続けるのは難しいでしょう。
一方で「やりたい」という気持ちばかりが先走って、なんの知識や経験がもないという状況では、なかなか採用には至りません。そんな時に考えて欲しいのが「できること」です。これまでの職務経験の中でやってきたことから、できることを探していく作業です。
まずはできることを箇条書きにして洗い出し、共通項のあるものをまとめていきます。そして、「やりたい仕事」に繋がるものを見つけたら、そこをもっと深堀りしていきましょう。たとえ未経験の職種でも、その職種に必要なスキルや素質があるとアピールできるものを探しましょう。
最後に「ニーズ」です。これはまさに、今求人が出ているかどうかということです。やりたいことやできることが明確になっても、求人が出ていなければ応募はできません。1つの媒体で見つけ出すことは難しいですから、いくつかのサービスに登録してみて求人を探していきましょう。
仕事軸では、これら3つの要素が重なる領域を目指して探してみると良いでしょう。
プライベート軸では「お金」「時間」「場所」をチェックしよう
仕事軸が決まったら、次にプライベート軸について考えていきます。いくら理想的な仕事があっても、続けるのが難しいようではもともこもありません。プライベート軸のチェックポイントについて見ていきましょう。
まずは「お金」です。月給では基本給はもちろん、時間外手当が都度発生するのか固定(裁量労働制)なのかを見ます。また役職手当などの固定手当を含むかどうかもチェックします。その他、福利厚生面でも通勤手当や住居手当の有無や制限、退職金制度についてもチェックしておきましょう。
次に「時間」です。勤務時間に休憩時間、時間外労働が月にどれくらい発生するのかも見ておきます。そして見逃せないのが、年間休日です。給与が良くても年間休日日数が少ない企業があるのですが、これが大穴なのです。
例えばこのような事例を考えてみてください。A社、B社共に1日の労働時間は8時間で年収480万円(計算しやすいようにボーナス支給なし)と仮定します。A社は年間休日120日、一方でB社は100日だとどうなるでしょうか。
【A社】
ひと月あたりの休日 … 120日 ÷ 12ヶ月 = 10日
月給 … 480万円 ÷ 12ヶ月 = 40万円
日給 … 40万円 ÷ (30日 – 10日) = 2万円
時給 … 2万円 ÷ 8時間 = 2500円
【B社】
ひと月あたりの休日 … 100日 ÷ 12ヶ月 = 約8日
月給 … 480万円 ÷ 12ヶ月 = 40万円
日給 … 40万円 ÷ (30日 – 8日) = 1.8万円
時給 … 1.8万円 ÷ 8時間 = 2250円
いかがでしょうか?同じ年収にもかかわらず、B社の方が低い時給で働いているということは明らかです。一見見逃しがちな年間休日ですが、「時間」という概念でみると必ずみておきたいポイントだということがおわかりいただけたと思います。
最後に「場所」です。こちらも時間の概念と同じ考え方なのですが、通勤時間が長いということはそれだけ多く仕事に時間を取られているも同然です。効率よく学習時間に費やす…などという理由がない限り、できるだけ近い場所を選ぶことをおすすめします。
もし「憧れの場所で働きたい!」ということでモチベーションが上がるのであればいいのですが、長く勤めることを考えて、気持ちが冷めてきたときに苦にならないかどうかも考慮しましょう。。
騙されないための求人票の見極め方
最後に求人票の見極め方について見ていきましょう。
ホームページをチェックする
一般的に求人広告には掲載できる量に限りがあります。掲載できる情報量と掲載費用とは比例関係にあるので、企業側としても伝えたい情報をすべて載せることはできません。そのため、自社のホームページに載せたいすべての情報を載せることになります。
ここで注意しておきたいのは、会社のHPに載っているのはあくまでも企業が「載せたい情報」だということ。基本的には良い情報しか乗っていません。それを踏まえた上でここでは、会社や人の雰囲気、会社の理念や製品、あるいは今後の展開などをチェックしましょう。
就職四季報をチェックする
四季報というと東洋経済新報社の「会社四季報」を思い浮かべる人も多いでしょう。ここでご紹介したいのは、実は就活生をターゲットにした「就職四季報」です。
“就職四季報には、採用実績、有休取得状況、採用実績校、業績、残業時間など会社の実情を知るための情報が満載です。まずは就活に役立つ『就職四季報』のデータの見方をチェックしてみましょう。”
〜東洋経済新報社 就職四季報2021(https://str.toyokeizai.net/-/shushoku_all/)〜
とあるように、転職活動をする上で知りたいことがリアルな数字として記載されています。
筆者は企業の採用担当者として四季報アンケートに答えていましたが、まぁ痛いところをついてくる質問もありました。それだけ本当の情報が載っているということですので、もし希望する就職先が上場企業であれば必ず事前にチェックしておきましょう。
口コミサイトをチェックする
上記2つは、企業側が提供する情報がベースとなっていました。それに対して雇用側のよりリアルな情報を得るために使えるのが「転職会議」や「エンライトハウス」などの口コミサイトです。
ただ、口コミサイトを活用する際には「悪いことが書かれている」が基本だということを念頭に置く必要があります。というのも、会社の情報を書き込みしようとするのは、たいていの場合会社に不満を持っている人だからです。
そのため、どの会社の情報を見ても悪いことが書かれている…という側面がありますが、すべてを鵜呑みにする必要はありません。どんな会社であっても、すべての社員が100%満足しているという方が珍しいでしょう。大切なのは会社の実情を知った上で、自分ならどうするのかを考えることです。
会社内の生の情報に触れる少ない機会ですので、是非活用してみましょう。
まとめ
転職先を探すために大切なことは、まず求人の探し方・見方・見極め方をしっかりと知ることです。正しい情報を得て、しっかりと見極める力をつけることで、転職を成功に近づけることが可能です。
そして本命の求人を見つけていざ応募!という段階で準備不足では、悔やんでも悔やみきれません。転職を失敗で終わらせないためにも、転職エージェントを上手く使って自分の見せ方や面接のポイントなどをつかんでおくことも有効です。
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