近年少子高齢化が進み、各企業で労働力が不足しています。そこで多くの企業が中途採用を積極的に行い、労働力の確保に苦戦しています。転職が一般的になった今、異業種への転職をする人も毎年増えています。
しかし、未経験から異業種への転職はそう簡単ではなく、明確な志望動機や、異業種に対しての考え方などを整理する必要があります。
そこで本記事では、異業種へ転職する際の注意点や、採用確率を上げる方法などについて徹底解説します。
実際に自身で転職を3回経験し、また上場企業で採用担当として年間で書類選考3000件、面接500人を見てきた筆者がこれらの疑問について回答します!
転職に失敗しないためにも、ぜひチェックしてみましょう。
この記事を読むとこんなメリットがあります!
・異業種に転職するときの注意点を理解し、的外れな転職を避けられる。
・志望動機の見つけ方を知り、自分に合う仕事探しができる。
・異業種の転職に必要な「共通項」を見つけ、採用確率を上げられる。
未経験業界へ転職するときの注意点
異業種へ転職するときは、事前にいくつかのポイントを抑えておかなければなりません。
異業種への転職は、いままでの経験や実績が役に立ちづらいと思うかもしれませんが、前職で得たスキルなどを整理してみると、じゅうぶん通用するスキルを発見できます。
そこで以下に、異業種へ転職するときのポイントをまとめました。
業界に対しての理解
最初に把握しておかなければならないのが、転職先の業界に対する理解です。
初めて挑戦する業界であれば、いまその業界がどのような状況か、今後どのような成長や課題が待っているかなど、業界内の市場を理解する必要があります。
また同時に、数ある業界でなぜこの業界を志望するのか、この業界で自分のスキルをどのように活かせるかをしっかりと把握しておきましょう。
そうすることで、面接のときに適切な志望動機を伝えることができます。
自分のスキルの整理
業界への理解ができたら、自分のスキルをしっかり整理しましょう。違う業界にいたとはと言えど、これまでさまざまな業務を行ってきたはずです。
業界が変われば活かすことのできないものもあるかもしれませんが、これまで身につけたスキルが他業界でも武器になるケースは多くあります。
そこで一度、いまの会社に入社してから現在までどのような業務を行い、どのようなスキルを身につけたかを紙に書き出すことをおすすめします。
自分のキャリアを可視化することで、いまの自分にどのようなスキルがあるか俯瞰的に把握することができます。
その後、次に挑戦する業界でも活かせるスキルを確認し、そのスキルをもとに志望動機を組み立てていくことで、志望動機により深みが出てきます。

一見関係ないように見えるスキルでも、活かせるものがきっとあるはず。
ここではできるだけ細かく、具体的に書き出していくのがおすすめ。
最低限のビジネスマナー
最低限のビジネスマナーは、どこの業界でも共通で必須となります。
新卒採用ではゼロからビジネスマナーなどの研修を行い、企業は多くの時間とコストをかけています。
そのため中途採用では、ビジネスマナーは身についている前提で採用活動を行っています。
異業種へ転職するときは、スキル的には新卒に近いかもしれません。しかし社会人としては新卒ではないので、最低限のビジネスマナーを身につけて転職を目指す方ようにしましょう。
共通項を探す
異業種の転職でもっとも考えなければいけないのがこの、共通項です。
前職での経験やスキルを、次の業界で活かすことが非常に重要になってきます。
業界を変えて同じ職種で働く場合であれば、その職種で得たスキルは共通して異業種でも武器になります。
たとえば営業マンとして人材業界で働いていた人が、広告業界やIT業界の営業マンとして異業種へ移るときはどのような共通項があるでしょうか。
BtoBへの営業方法、担当者へのヒアリング能力、無形商材の取り扱いなどがあげられます。
このように、取り扱う商材が変わったとしても、営業マンに必要とされる能力は共通しているため、他業界へ未経験から転職するときも、前職で培ったスキルは武器になります。
また企画運営や、人事総務などのポジションで異業種へ移る場合も同じことが言えます。
企画運営であれば、企画の立案から計画や設計の経験、人事総務であれば、採用スケジュールの作成や、採用ブランディング、企業説明会での講演の経験などが活かせるでしょう。
同じくここで得た知識は、別の業種や企業に移り、取り扱う商材が変わっても活かされてきます。
そのため異業種へ転職をするとき、自分がいま就いている職種のプロになることで転職成功率を上げることができます。



中途半端な知識・経験ではあまり魅力を感じないの。
まず今のポジションを突き詰めることが、転職への近道なのね。
未経験業界に対する志望動機
未経験の業界へ転職をしたいのであれば、志望動機の書き方にとくに気をつけなければなりません。
異業種へ移る明確な理由や、未経験ながらどのように活躍できるかをアピールできるかがカギとなります。
そのため、付け焼刃の志望動機は面接官に見破られやすく、事前にしっかりと業界研究や自己分析を行うことは必須となるでしょう。
志望動機を書くときのポイント
異業種へ挑戦する場合、まず最初にこの業界を選んだ理由を明確にする必要があります。
職種を変えず業界を変える場合など、なぜ同業界でステップアップを目指さないのか、業界ごと変えてしまうのかなど聞かれるケースが多いです。
そのため、この業界を選んだ理由をポジティブに説明することが求められます。
次に自分の共通項をアピールすることを心がけましょう。前の章でも記載したとおり、業界をまたぐときは、前職で得たスキルをどのように応用できるかがカギになります。
ビジネスマナーなど基本的なことはもちろんですが、前職で得たスキルを新しい業界でどのように活かしていきたいと思っているか、明確に伝えられるようにしておきましょう。
基本的なことかもしれませんが、やる気や熱意のアピールも大事になってきます。
中途採用は基本的にスキルや実績をもとに選考されますが、未経験の場合は少し違います。
採用担当も未経験で応募を受けた場合、スキルだけではなく人柄やポテンシャルも考慮して選考している場合がほとんどです。
そのため、素直さや向上心、積極性などをアピールし、入社後大きく成長できる可能性を示すことで採用担当者に好印象を与えられます。
最後に重要なのが、明確なキャリアビジョンを持ち合わせていることです。
いくらやる気やポテンシャルをアピールしても、今後のキャリアビジョンが定まっていないと、うわべだけの志望動機になりがちです。
異業種に移ったあと、5年後、10年後どのようなキャリアを送りたいかを事前に定めておくことで、より質の高い志望動機が完成するでしょう。
志望動機を書くときの注意点
未経験業界に向けて志望動機を書くときに、多くの人がやりがちなミスがあります。
それらを事前に確認しておかないと、つい面接などで口から出てしまうので、しっかりと確認して参考にしてください。
よくありがちなミスとして、異業種に興味があるから、成長段階にあるから、などといった理由だけで志望動機を書いてしまう人が多いですが、これは高確率で書類選考で落ちてしまいます。
単なる興味だけでは異業種で通用しませんし、仕事に対する姿勢が甘いと判断されかねません。
また成長段階にあるからと書いてしまうと、成長している業界ならどこでもよいのか?と面接官に悪い印象を与えてしまいます。
次に気を付けるべきポイントは、勉強させて欲しいという趣旨を書かないということです。
近頃では、多くの企業が未経験募集を行い、求人票には研修制度充実の文字が並んでいます。
そこで多くの人がやりがちなミスとして、研修制度が充実してしっかりと学べると思った、などと志望動機に書いてしまいます。
この場合企業側から、会社を学校と勘違いしているのではないか、自分で学ぶ気はないのかと、向上心や自立心がないと判断されることがほとんどです。
そのため異業種へ移る場合は、この業界で無ければ実現できないこと、いまのスキルを軸にキャリアアップを図っていくことなどを明確に準備しましょう。
未経験業界へ転職する前の準備
志望動機や共通項をしっかり分析したあとは、応募前に準備するべき点に取り掛かります。
未経験で他業界に移る場合、通常の転職に比べてハードルが高いです。
そこでしっかりと準備するポイントを押さえ、万全の状態で応募することで、成功率が大きく上がることでしょう。
自身の課題点の把握
転職先の業界で必要とされているスキルや知識に関して、いま自分が足りていないものを把握してください。
先ほどの例だと、人材業界の営業マンは、優秀な人材を提案する営業力はあっても、広告の種類や、最近どのような広告がはやっているかなどは把握していません。
このように、業界をまたぐ場合は転職先の企業がメインとしている事業や商材に関しての知識をインプットする必要があります。
また転職先の業界の歴史や今後の動きなど、業界全体に対しての知見も必要になってきます。
うわべだけではなく、アメリカや中国をはじめ、世界的にこの業界はどうなっているのか、日本国内では今後どのような展望があるかなど抑えておくほうがよいでしょう。
最低でもその業界での国内TOP3企業は把握しておきたいところです。
課題の克服方法
課題を見つけだしたら、どのように課題を克服するかを考えます。
業界に対しての知見や情報などは、転職エージェントに登録することをおすすめします。
転職エージェントは多くの業界へ転職者の活動をサポートしているため、正確な情報を多く持っています。
そのため自力で探しきれない、業界の動向などは転職エージェントから入手するのがよいでしょう。
また各転職サイトに登録をして、業界、企業研究も忘れてはいけません。
リクナビNEXTなどの転職サイトでは、求人情報以外に各業界の状況や今後の展望などの解説も行っています。
それらの情報を把握することで、より明確なビジョンを作ることができ、志望動機にも厚みが増すでしょう。


未経験でも転職難易度が高くない業界・職種
最後に、未経験でも転職が比較的簡単な業界、職種について解説していきます。
基本的には人手が足りない業界や、資格不問の職種のほうが転職難易度は高くありません。
情報通信業界
意外に思うかもしれませんが、情報通信業界は未経験でも挑戦しやすい業界です。
日本では、エンジニアやプログラマーなどのIT技術者が圧倒的に不足しています。
そのため多くの企業が、まったくの未経験者を採用しているケースがあります。
研修や教育に力を注いでいたり、30代の未経験でも採用を行っている企業もあるため、情報通信業は未経験から転職をする人にとって、ねらい目の業界と言えるでしょう。
介護業界
介護業界は日本規模で人手不足が問題視されています。
少子高齢化が進み、要介護者が増えていく一方、介護士の人口が減っていき業界は深刻な人手不足に悩まされています。
基本的には介護福祉士など資格が必要とされていますが、資格保持者が非常に少ないため、各施設未経験者を採用し、教育する方針を取っています。
土木建築業界
土木建築業界も通年人手不足に悩まされています。高齢化が進み若手が育たず、実績や利益を上げていても会社を畳まなければいけないケースも増えています。
そのため各企業で通年募集を行っており、30代までであれば若手とみなされ、技術面の教育が整っている企業も多いです。さらに土木建築は景気に左右されにくく、今後長い間必要とされます。
若いうちに職人として技術をつけることで、今後安定したキャリアを送ることも可能です。
営業職
高度なコンサルタントや専門的な商材を扱う場合は例外ですが、基本的に営業職は特殊な資格を必要としない職種です。
そのためBtoB、BtoC問わず、何かを提案した経験があれば、営業マンとして異業種で活躍できる可能性は大いにあります。
保険や金融、不動産など単価の高い商材を取り扱う業界であれば、年収やボーナス、インセンティブも非常に高く年収アップも狙えるため、営業力に自信のある営業マンにはおすすめの転職先となるでしょう。
まとめ
このように未経験業界への転職は簡単にはいきません。
しかし、明確な志望動機を見つけ出し、万全の対策を取ることで新しいキャリアや可能性を見つけることも可能です。
また未経験業界に転職するときは、前職で身につけたスキルや知識の共通項を活かせるケースも多分にあるので、面接で共通項をうまく伝えることも必要になってきます。
いまの業界を飛び出て、新しいことに挑戦したい、キャリアを形成したいと考えている人は、是非この記事を参考にして、万全の準備を行い転職に臨んでくださいね!