転職では年収交渉を行わないと、上がる余地があっても低い年収に設定されてしまうことがあります。
とはいえ交渉を行ったことがないし、失敗してしまうのでは…?と思う方もいらっしゃるでしょう。実はイメージさえ悪くならなければ、希望額に満たなかったとしても提示額よりアップしやすいんです。
「年収の交渉ってどうすればいいの?」「参考になる交渉術を教えてほしい」など、この記事では皆さんが疑問に思っている、年収の交渉術や交渉に必要な準備について解説しています。
実際に自身で転職を3回経験し、また上場企業で採用担当として年間で書類選考3000件、面接500人を見てきた筆者がこれらの疑問について回答します!
転職の年収交渉で失敗しないためにも、ぜひチェックしてみましょう。
この記事を読むとこんなメリットがあります!
- 年収交渉に必要なノウハウがわかり、年収を上げるための選択肢が生まれる。
- やってはいけないことも客観的に知れて、交渉失敗を最小限に抑えることが可能。
- 採用担当者の目線で情報を得られるので、より客観的な判断で年収交渉ができる。
転職で年収交渉ってそもそもできるの?容認の動きはありつつも慎重に!
そもそも転職時の年収交渉ってできるの?と疑問に思う方もたくさんいらっしゃいます。
実はここ数年で年収の交渉が頻繁に行われるようになり、採用担当者としても交渉を受ける場面が増えてきました。
ただし何でも交渉すれば良いわけではなく、場合によっては面接官の心象を悪くしてしまうので注意が必要です。
年収交渉は可能!ただし成立するかは別
年収の交渉は基本的に可能です。しかしかんたんに成立するわけではなく、提示年収でも採用するメリットを相手が感じられれば成立しやすくなります。
いくら業績が良い企業だとしても、採用コストは非常にシビアです。ましてや年収での交渉となれば、その提示額以上のメリットがなければ採用されません。
そう考えた際、あまりにもお金のことばかりを前面に出すと、良い印象を受けない可能性もあります。
なぜなら採用担当者は、
- その金額に見合った成果が得られるのだろうか?
- 実際に採用してから期待値を下回る場合、扱いに困ってしまう
といったように、採用時のメリット・デメリットを総合的に判断しているからです。
そのため適切なタイミングとアピールの仕方次第では、提示額を改める必要があると一考してくれます。
交渉を行う際は慎重にすべき理由
年収の交渉はどうしてもお金が絡む問題なので、伝え方やタイミングを誤ると非常にイメージが悪くなってしまいます。
下手をすると「こちらのメリットは考えず、自分だけの都合で金額を提示している」と思われることも。
またグローバル化が進んでいるとはいえ、与えられた給与に対して交渉を行うのは不適切と考える企業もあります。
まずは企業風土や業界の相場、任せられる仕事内容をよく調べましょう。その上で適切なタイミングにて交渉を行い、伝え方を配慮すれば相手の印象が悪くなることはありません。
本質としては、相手が「希望額でもメリットを感じられるかどうか」という部分です。
しっかりと伝えるべき内容を精査し、正しいタイミングで交渉を行ってくださいね。
エージェントの活用も十分あり
どうしても自分で交渉を行える自信がないと思う方や、より効率的に時間を使いたい方は転職エージェントも活用してみると良いでしょう。
日頃から転職エージェントは給与の交渉を行っており、希望企業の募集背景や市場の相場を知り尽くしているプロです。
個人で転職を行う際、どんなに調べていても現場のリアルな声は拾いにくいもの。
そこで転職希望者と企業のパイプ役である転職エージェントに給与交渉を依頼し、本当に自分がやるべきことへ時間をかけるのもアリです。
また転職エージェントは無料で使えますし、希望者の適性を客観的な目線から判断できます。
場合によっては、希望額より相場の高い業種へ転職できる可能性も。相場感を知るために、一度転職エージェントの面談を希望する方もたくさんいらっしゃいます。

どうやって転職時の年収交渉を成功させればいい?採用担当者も驚く交渉術4選
実際に転職時の年収交渉を成功させたいと思った際、どんな交渉を行えばいいのかわからないことがたくさんありますよね。
そこでこの項目では、実際に採用担当者の目線から受けた交渉術について解説します。
年収の交渉だけではなく、本採用となってからもうまく応用できるものばかりですよ。ぜひ参考にしてくださいね。
1.複数の企業を受けて交渉材料を増やす
交渉をするなら複数の企業を受けておくと、提示できる材料が増えて交渉を有利に運べます。
どうしても時間が捻出できない場合や、一発で成功させたいと思うときは応募を一社に絞りがちです。
しかし交渉ごとにおいて、材料が少ないと不利な状況に置かれてしまいます。
例えばA社を受けて年収450万の提示を受けたとき、希望額を交渉するのにいくつか妥当な条件を提示しなくてはなりません。
そんなときB社を受けていて、待遇の良い部分を材料に交渉が行えたらどうでしょうか。
「年収500万とのことですが、B社では年収540万の提示がありました。上げることは可能でしょうか?」と伝えられますよね。
そのため希望する企業よりも高い金額が提示できる企業も受けておき、交渉の場で材料として扱うと交渉が成功しやすいです。
2.年収の根拠を具体的に提示する
いくら希望額を伝えていても、その根拠が曖昧では採用メリットが伝わりません。
具体的に応募する職種や業界の相場感を調べ、なおかつ自分にできることを加味しながら根拠を提示しましょう。
例えば実際に筆者は、コンサルタントの応募で外部講師もできるという提示を受けたことがありました。
「コンサルタントの実務だけではなく、副業で講師を行った経験があります。そのため新たに開設予定の研修センターにて、すぐに講師のノウハウを提供可能です。」
新たに研修フローを作るとなれば、コストも時間も大きく取られます。しかしその応募者は具体的なメリットを提示し、さらに明確な年収アップの基準を提示してくれました。
特別なスキルがなくとも、自分が打ち込んでいる業務の価値を提示できれば納得感が生まれやすいでしょう。
3.希望給与を高めに設定して伝える
希望額を伝える際は、相場や前職の年収プラス30~50万円上乗せして伝えましょう。
自身の希望額は、あくまで「希望」です。最終的な判断は企業側が行うため、もしかすると転職前より低くなってしまう可能性もあるでしょう。
とはいえ企業側が判断するのであれば、自身をアピールする際に低く見積もってしまってはいけません。
低く見積もってしまった結果、企業側もコストがかからないので承諾する可能性もあります。
もし明確な基準がない中小企業に応募した場合、低い見積もりがそのまま通ってしまうことはよくあるのです。
できるだけマッチングしやすく相場感から逸脱しないためにも、想定の希望額にプラス30~50万円の年収を提示しましょう。
4.入社後のメリットを惜しまずアピール
入社後にどう貢献してもらえるか?を明確にするため、判断材料となる職歴や実績は惜しまずアピールしましょう。
とくに応募先の企業で活用できそうな経験やスキルがあれば、より具体的に記述した上で口頭でも伝えます。
業種が違う場合でも通用するものが必ずあるはずです。できるだけ明確に書き出しておき、すぐに言葉で説明できるようにしておくと良いでしょう。
ただしイメージしにくい数字や成果は、逆に伝えないほうが良い場合もあります。
いくら素晴らしい結果を残していたとしても、採用担当者が「この応募者は周囲の人たちと連携が取れなさそうだな」と思うこともあるのです。
あまり具体的な数字や成果だけにこだわりすぎず、周囲と強調しながら結果を出せるかどうかも触れてみてください。
年収交渉を行うタイミングについて!適切な状況じゃないとイメージが悪化?
実際に年収交渉を行う際は、タイミングが非常に重要です。伝えるタイミング次第では、悪い印象を残してしまうこともあります。
そこでタイミングに気をつけつつ、より効果的に交渉しやすい状況づくりを考えてみましょう。
採用担当者の目線を知れば、どういう状況が効果的なのかよくわかりますよ。
基本的には内定後の面談前まで
年収交渉を行うタイミングは、基本内定が決まったあとに行います。具体的には内定を一旦保留にし、数日経ってからがベストなタイミングです。
内定が決まった段階なら応募者も有利な状態で交渉しやすく、その後のオファー面談でも希望額が提示されやすくなります。
※オファー面談は内定したあとに行う、最終的なすり合わせを行う面談です。
一度内定を保留にしたら、2日以内に改めて面談の場を設けられないか伝えます。そして面談で年収の交渉を行い、希望額を提示しましょう。
- 現状では提示額の合意が難しい
- 希望額を伝え、返答の期限を確認する
しっかりとどの条件が飲めないのか伝え、あくまで相談という前提で期日もハッキリさせておくと良いです。
そして電話口で交渉を行うのはやめましょう。大切な交渉だからこそ、直接会って伝えるようにするのがベストです。
内定受諾を保留する際や返答のマナー
内定が決まったら、一旦保留にする際も自然な理由で依頼を出してください。期日はおおよそ一週間が目安です。
保留を出す際は、下記2点のポイントから選んで伝えます。
- 家族に相談・報告するために時間がほしい
- 併願企業があることを素直に伝える
家族であれば独り身でも親という存在がいますし、配偶者がいる場合でも通用します。
ただし併願企業がある場合は、「内定を承諾するために」という部分を強調すると良いです。
「ほかに選考中の企業があり、○月○日に結果が出ます。中途半端にしたくはないので、他社の選考をしっかりやり切ってから内定承諾させてください」と伝えましょう。
反射的に返答せず一度タイミングを空けること
どうしても場の空気感から、提示された条件で反射的に返答してしまうことがあります。
とにかくできるだけすぐに返答せず、一度保留にしてから返答を出すようにしてください。
なぜなら冷静になって考えてみると、改めて疑問点や交渉の余地が生まれやすいからです。
反射的に条件を飲んでしまったせいで、希望額に満たないまま転職をしてしまうこともあります。
一度条件に合意してしまうと後々覆りづらいため、できるだけすぐ返答しないよう心がけるのがベストです。
転職の年収交渉でやってはいけないこととは?十分に注意して交渉しよう
転職時に年収交渉をする際、注意していてもうっかりやってはいけないことをしてしまうときがあります。
下記で解説するやってはいけないことをよく読み、交渉時に悪いイメージがつかないよう注意してください。
伝え方が悪く一方的な印象を与える
年収の交渉が可能と言っても、伝え方次第では「給与のことしか考えていない」という印象を与えてしまいます。
お金目当てな印象を与えてしまうと、働く意欲があるのかさえ疑われてしまうこともあるのです。
そのため交渉を行う際は具体的にどんなスキルがあって、どんな経験から会社に貢献できるのかを前提にしっかり置きましょう。
もし年収の交渉で待遇を良くしたいと思っていても、結果的に企業がメリットを得られなければ対価に見合った給与は出せません。
企業が潤うからこそ、お給料が渡せるのです。この前提を崩してしまうと一方的になりやすいので、十分に注意しましょう。
希望年収の想定が甘く相場以上の提示をする
どんなに素晴らしい経験やスキルがあっても、交渉で桁違いの年収を提示するのはタブーです。
- 相場を見ていない(もしくは感覚を見誤っている)
- 自分の市場価値を把握していない
交渉が失敗に終わるほか、非常に悪いイメージが付きやすいです。
希望する業種の相場感と自分の経験・役立つスキルを総合的に判断し、妥当な金額を見極めましょう。
そして上乗せする場合は、想定した年収額の30~50万円プラスが適正な範囲内です。
ただし成長している企業や伸びる業界、十分に売上へ直結できる経験やスキルがあればもう少し上乗せしても問題ありません。
まとめ
転職で交渉を行う際は、タイミングをしっかり見計らった上で適切な提示を行いましょう。
相手が提示額に納得できるほどの魅力を感じてくれれば、必ずあなたの提示する年収額に合意が得られます。
逆にタイミングを見誤ると、せっかく交渉の余地があっても合意に至りません。もしくは内定さえもらえず、転職失敗となる可能性もあります。
もし交渉に自信が無い方は、一度転職エージェントに相談してみるのも手です。無料で使えるサイトがほとんどですので、ぜひ活用してみてくださいね。
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