1つの企業に長く勤めるのが良いとされてきた昔とは違い、現在ではキャリアアップやキャリアチェンジなど様々な理由で多くの人が転職をしています。
しかし一方で気になってくるのが、転職の限界年齢は35歳までという説です。
業種や職種にもよりますが、一般的なイメージとして若いほうが転職に有利、企業も若い人が欲しいと、そう思っていませんか?
実際この意見は、半分は正解ですが半分は不正解です。
そのため、なかには30代で転職をして年収が上がったり、待遇が良くなったりと成功を手にしている人も多くいます。
そこで今回は、何歳なら転職が有利か、35歳を超えると転職が不利になるのかなど、転職と年齢について徹底解説していきます。
転職できるのは何歳まで?
現在市場では転職できる年齢について様々な説が出ています。
それらの情報を見ていると、自分の年齢であれば転職は成功するのだろうかと不安になってしまいますよね。
転職年齢についてよく言われているのが、28歳、32歳、35歳ごとに限界説がささやかれています。
しかし実際ではどうでしょうか。
28歳の転職
まず最初にあげられるのが、28歳を限界とする説です。
結論から申しますと、28歳での転職成功確率は非常に高いです。
そもそも28歳という年齢であれば、社会人となり大体6~9年くらいが経過している時期です。
5年以上会社に勤めて実務経験を詰んでいれば、実績やスキルもある程度ついてくる頃です。
そのため他の会社でも即戦力になれる可能性が高く、まだ20代ということで伸びしろにも期待され、転職するには最適な年齢と言えるでしょう。
32歳の転職
30代を超えると一気にハードルが上がるように思われますが、32歳での転職成功確率は十分に高いです。
2019年にパーソルが発表したデータによると、転職成功者の平均年齢は31.7歳です。
30歳を超えたあたりであれば、じゅうぶんなスキルや実績を持っている人も増えてきます。
さらに成長の早い人であれば、現場マネージャーなどを任された経験があり、より高度なスキルを携えている場合もあります。
そのため、32歳でもじゅうぶん転職するには遅くない年齢です。
35歳の転職
多くの人が35歳は転職の限界だと思っているのではないでしょうか。
30代半ばに差し掛かり、40歳を目の前にすると企業は採用してくれないのでは、という声も多いですが、35歳で転職を成功させてる人は多くいます。
少子高齢化が進む現在では、多くの企業で労働人口が不足しています。
特にIT企業や建築業界などの技術職では、今後企業を支えていくための人材を探しているケースが非常に多いです。
35歳ともなると、より多くの経験や実績を積み、部下の育成など行う立場になっている人もいるでしょう。
人材が不足している企業が多い現在では、そのような会社の今後をリードできるような人材を探しているケースがあります。
つまり、職種や業種によっては35歳が転職の限界には当てはまりません。
人手不足倒産とは?
少子高齢化が進む現在の日本では、企業の人手不足倒産が問題の一つとしてあげられています。
これは文字通り、社員数が不足して倒産してしまう企業のことで、なかには利益を順調に上げていても人材不足により倒産してしまう企業も多数存在しています。
東京帝国データバンクが発表した2019年度の人手不足倒産の企業数は194件であり、6年連続で最高件数を更新し続けています。
また業界によっては、30代中盤の経験値のあるリーダーを探している業界があったり、40歳以下であれば十分若いと判断する企業があったりと、状況は大きく変化しています。
このような背景により、少し前までは35歳が転職の限界とされてきていましたが、現在では35歳を超えても転職を成功させている人は非常に多いです。
年代別:採用担当から求められるスキル
ここまで、35歳を超えても転職が成功する可能性は高いと解説してきました。
しかし、誰でもみんなが簡単に転職を成功させられる訳ではありません。
そこでこの章では、採用担当から求められるスキルを年代別に解説していきます。
25~29歳の応募者に求められるもの
20代後半では、主にポテンシャルと伸びしろが求められます。
採用する企業側も、社会人経験が少ない20代後半の人材に対してはあまり多くのスキルや実績を求めない傾向にあります。
もちろん同業界での転職などなら知識や経験はメリットになりますが、それ以上に人間性に比重をおいて見られるでしょう。
採用担当も若い人材に対して、即戦力を求めるよりは教育や指導をして、将来戦力なるかどうかを見定めていることが多いです。
そのため面接や書類選考のときはスキルや経験面に加えて、より積極性や素直さ、順応性などの人間力の高さを押し出すことをおすすめします。
そうすることで採用担当に対して、今後戦力になるだろうと思わせることができます。

30~35歳の応募者に求められるもの
30代前半では、現段階で戦力になれるかが主に問われてきます。
20代のうちにどのようなスキルを習得したか、どのような実績を作ってきたかを基準に、今採用することで戦力として数えられるかが需要なポイントになります。
30歳を超えるころには、実績や成果を出して主任や係長など役職についている人もいるでしょう。
場合によってはチームマネジメントをしたり、部下指導を任せられているかもしれません。
このように30代前半までに、さまざまなスキル習得のチャンスがあります。
そのため採用担当に対して、これらのスキルや実績があることをアピールし、入社後に即戦力として活躍できることをアピールするのが効果的です。
35歳以上の応募者に求められるもの
35歳を過ぎると採用担当から求められるスキルなども変化してきます。
35歳以降の社員を採用するとき、採用担当はこの人を採用することで会社が今後どのように変化するかを見極めます。
30代前半までであれば、現場の最前線での戦力や現場マネージャーとしてのスキルが問われます。
しかし、30代後半から40代からは現場の最前線として貢献するよりかは、管理職や部署全体のマネジメントなどの能力が求められてきます。
早い企業であれば、35歳前後で管理職に就任するケースもあります。
また、それよりも遅い企業だとしても、30代半ばの社員に対してのマネジメントスキルを見定め始めます。
そのため35歳以降で転職をするときは、今後マネジメントや管理をしっかり行うことで、会社全体にメリットをもたらせることを採用担当に伝えましょう。

キャリアアップとキャリアチェンジ
転職を検討するときに気をつけたいのが、なぜ転職をするかです。
この理由によって転職そのものに対しての取り組みも変わってくるため、自分の中で事前にしっかりと確認するようにしましょう。
大きく分けて転職をするときは、キャリアアップとキャリアチェンジの2パターンあります。
キャリアアップ
キャリアアップでの転職は主に、同業他社への転職や他業界で同じ職種への転職などがあげられます。
キャリアアップの主な目的は、年収アップや好待遇、いまよりも高い役職を目指して行うことになるでしょう。
キャリアアップで転職するときは、スキルと経験、過去の実績などが求められるため、若い人よりもむしろ実績やスキルのある30代が有利になることが非常に多いです。
年齢にかかわらず上を目指し成長するための転職をするときは、採用担当も選考時にすぐに戦力として稼働できるかを、より重点的に選考するでしょう。
そのため事前に自身のスキルや実績を一度整理し、いまの自分で戦えそうな企業を選定して転職活動をすることをおすすめします。
キャリアチェンジ
一方で、キャリアチェンジの場合は少し内容が変わってきます。
キャリアチェンジで転職をする場合は、業種職種のどちらか、もしくは両方が変わります。
そのため基本的には業界未経験や職種未経験からのスタートで、キャリアチェンジをすることも多いです。
未経験からの転職となると先ほど解説した通り、年齢が関わってくるでしょう。
いままでスキルや経験を培ってきた場所とは別の場所に転職をする場合、基本的に得たものをすべて手放しゼロからスタートすることと近い状態になります。
しかし、それが必ずしも30代にとって不利に働くわけではありません。
業界によっては高齢化が進み、30代未経験者でも積極的に採用を行っている業界があります。
そのため30代から心機一転、真新しいことに挑戦することは大いに可能です。
30代未経験でも転職できる職種
次に解説するのは、30代で転職できる職種、業種についてです。
経験やスキルがありキャリアアップを目指すのであれば、むしろ経験豊富な30代が有利なケースもあります。
しかし先ほど述べた通り、未経験でのキャリアチェンジだと業界や職種によっては年齢がハンデになってしまう場合もあるでしょう。
そんななかでも、30代未経験からでも転職できる職種、業種をまとめたので転職を検討している人は
是非参考にしてください。
システムエンジニア
まず最初に紹介するのがシステムエンジニアです。
現在、日本ではIT技術者が非常に不足しています。
近年では若手IT技術者が採用できないため、大手企業では新卒採用をグローバル化し、エンジニアの多国籍化を図っている企業もあります。
このようにIT業界では全体的な人手不足が叫ばれ、パーソルが発表した有効求人倍率も6.6倍と全職種中トップです。
しばらくはこの売り手市場が続くため、ここ最近では30代の未経験からシステムエンジニアへキャリアチェンジを図る人が増えています。
介護士
介護業界も同じく、人手不足問題が深刻な業界です。
それに加えて高齢化も問題視されており、現場で働く社員たちの年齢も上がっています。
さらには介護現場は主に力仕事であり体力が求められるため、現場の高齢社員に大きな負荷がかかっています。
毎年福祉系の学校を卒業する生徒も減っており、介護業界では人手不足を中途社員で補う傾向があります。
また30代であれば介護業界の中ではまだまだ若いため、未経験でも十分に転職するチャンスが多いです。
営業
営業職は採用を行うときに、基本的に必須資格などを設けていない企業が多いです。
そのため営業経験がなくても、業界の経験や知識を活かして営業へキャリアチェンジをする30代も増えています。
さらに営業は売上や成果によって、インセンティブなどがもらえるためキャリアチェンジをしたことで収入が上がったりと、成功者も非常に多いです。
業界にもよりますが30代未経験でも募集をしている企業は多いため、キャリアチェンジで高年収を狙うのであれば、営業職はおすすめです。
土木建築関係
土木建築業界では職人不足の問題があとを絶ちません。
いまの50代の親方たちが若いころに技術を習得し自分が親方になったものの、後継ぎとなる若手が不足しているため、多くの業界で30,40代でも募集を行っています。
さらにはこの業界は一度手に職をつけると、この先長い間活躍できるため、キャリアチェンジを目指すとき、土木建築業界も非常におすすめの業界の一つです。
転職は年齢よりも能力が必要
転職についての情報を見かけるとき、よく年齢についての様々なことが書かれています。
確かに若いことは市場では武器になりますし、同じ能力を持った人間であれば、今後の雇用期間も考えて若い人のほうが選ばれやすいでしょう。
しかし最終的に採用担当は、転職者を採用することでどのようなメリットがあるか、利益が生まれるかなどを能力をもとに判断します。
そのため転職活動において最も大事なことは、自身の能力や実績、いままで培ってきた経験と言えるでしょう。
まとめ
ここまで解説してきたように、基本的には転職活動において年齢の限界はありません。
業界や職種によっては若いほうが有利に働く場合もありますが、基本的には自分のスキルで勝負することになります。
またひとくくりに転職と言っても、キャリアアップかキャリアチェンジかで状況も変わりますし、目指す場所によって年齢が多少かかわってくる事実もあります。
そのため転職を検討しているのであれば、どのようなキャリアを歩みたいか、どのような企業へ転職したいかを確認し、自分の年齢に合った対策を取って理想の企業へ転職してください。