副業や組織にとらわれない働き方が話題となり、コロナ禍の現在でもフリーランスの人気は高まっています。このまま雇われて不安定な仕事を続けるよりも、フリーランスとして独立したい。そう思う方も多いです。
しかし「そもそもフリーランスって?なるにはどうしたらいいの?」「必要な手続きや準備をどうすればいいのかわからない」と思われている方も多いのではないでしょうか。今すぐに独立する気はなくても、基礎知識について調べておきたいこともあるはずです。
なにしろフリーランスと会社員では、働き方が全く違います。今まで会社にやってもらっていた社会保険や税金も、すべて自分で納めなくてはなりません。もちろんメリットもあれば、デメリットもあります。
そこで実際に自身で転職を3回経験し、また上場企業で採用担当として働きながらフリーランスに転身した筆者がこれらの疑問について回答します!
フリーランスとして働くことを考えているなら、ぜひチェックしてみましょう。
この記事を読むとこんなメリットがあります!
- フリーランスについて実体験を元にした基礎知識がわかる。
- フリーランスになるための準備や必要な手続きがわかる。
- フリーランスとして長く続けるための心構えを理解できる。
そもそもフリーランスとは?事前に知っておきたいことと必要なこと
そもそもフリーランスという言葉を知っていても、どのような働き方なのかよくわかっていない方も多いです。
なんとなく知っている方も、そうでは無い方も合わせて事前に知識として覚えておきましょう。
この項目では同時にフリーランスと相性のいい職業や、フリーランスのメリット&デメリットについても触れています。
そもそもフリーランスとは
そもそもフリーランスとは、企業に属さず個人で仕事を請け負い生計を立てている事業主です。(最近では副業フリーランスも流行)
つまり個人事業主と同じで、法人を設立して会社を経営している「社長」とは違います。
フリーランスは依頼された仕事に対し、成果物を納品して報酬を受け取るシンプルな契約形態が多いです。
そのため自身の技術や特定の領域で知識を持っている方が多く、柔軟に対応できることから企業お抱えのフリーランスも多数存在します。
しかし企業に属していないため、労働法規は適用されません。例えば最低賃金や労働時間、休日もすべて自分で管理する必要があります。
もちろん働けば働くほど報酬も受け取れますが、過労で体を壊して働けないと収入は入らなくなるでしょう。
自由度の高い働き方だからこそ、個人の管理能力が問われます。
フリーランスと相性のいい職業
フリーランスという働き方は現代に始まったものではなく、芸術家や漫画家といった専門性が高い職の方々も含まれてきました。
現代ではインターネットの普及により、さらに職業の幅が広がっています。
また未経験であっても、フリーランスとして働きやすい職業が下記の4つです。
- Webライター
- Webディレクター
- ITエンジニア
- Webデザイナー
上記の職業は未経験者であってもスキルを高めやすく、かつ需要があってパソコンがあれば働けます。
そして多くの方が発信している職業でもあるので、比較的インターネットで情報を収集しやすい職業です。
全般的にWebを駆使するため、パソコンの扱いに慣れていると良いでしょう。
最初は自身のブログを作るところから始め、文章を作るのが得意な方はWebライターに。コンテンツを管理するのが好きならディレクターへ。
より高度なプログラムを動かすならエンジニア、作ったサイトのデザインに愛着やカスタマイズ欲を持った方がデザイナーに…という流れを良く見かけます。
フリーランスのメリット
フリーランスは会社にとらわれない働き方のため、非常に自由度が高いです。そのため良い面ばかり見てしまう方もいますが、デメリットもたくさんあります。
まずメリットは下記のとおりです。
- やり方次第で収入が上がる
- 節税や税金の基礎知識がつく
- 定年退職がない
フリーランスは基本的に、成果がたくさん上がれば収入も上がります。中には自身で働かず、外注を駆使して自由時間と収入を同時に獲得するフリーランスもいるほど。
またサラリーマンでは意識しない、節税や税金の基礎知識がつきます。仕事で使ったものなら経費として計上できるので、節税対策も積極的に行えるのが魅力です。
そして定年退職がないため、将来的に年金以外の収入源を持てる状態にもなります。
フリーランスのデメリット
フリーランスになるデメリットは、下記のとおりです。
- 収入は安定しない
- 年金が厚生年金ではないので下がる
- 確定申告の手間がかかる
フリーランスは自分次第で年収を上げていけるものの、必ずしも同じ仕事が入るとは限りません。収入は青天井ですが、逆に安定しない状態となってしまいます。
また会社員の場合、国民年金と厚生年金からお金を受け取れる仕組みです。しかしフリーランスは厚生年金に加入できないため、受給額は変動します。
年に1回、確定申告も行わなくてはなりません。会社員では行わなかった事務処理ですので、この手間が増えるのもデメリットの1つでしょう。
フリーランスになるには?必要な手続きとやらなければいけないこと
フリーランスの基礎知識を得たところで、実際にどのような手続きを取ればいいのかわからないですよね。
実際に必要な手続きのほか、生計を立てるための準備も必要です。いきなりフリーランスになっても、生きていけなければ意味がありません。
また社会保険や税金の種類も変わるので、ぜひ事前に押さえておきましょう。
フリーランスになる前に必要な準備
フリーランスになる前に必要な準備として、仕事探しがあります。
まずはいくつかの手順から仕事を探し、少しずつでもいいから副業や売上を立てる見込みを出していきましょう。
- 現在の職場で業務委託を受ける
- 知人や友人を利用して仕事の紹介を受ける
- クラウドソーシングサービスを活用する
- SNSやホームページを作成する
- フリーランスエージェントを活用する
まず一番良いのは、現在受け持っている自分の仕事を業務委託として請け負うパターンです。
やることが変わらず、相手と信頼関係を新たに構築する必要もありません。知人や友人を介して仕事を請け負うのも手です。
また副業として相性がいいのは、クラウドソーシングサービスの活用です。Webライターやデザイナー、エンジニアといった業務はよく募集があります。
ただし自身の名刺がわりになるホームページの作成や、SNSを同時に作っておいたほうが良いでしょう。
基本的にフリーランスは営業がなければ、最初の仕事はなかなか取れません。売れっ子になれば話は別ですが、最初の段階では難しいです。
慣れない方でもメールでの営業なら、ある程度数はこなせるでしょう。どうしても難しい方は、フリーランスエージェントを活用してみると良いかもしれません。
フリーランスになるための手続き
フリーランスになるための手続きは、下記のとおりです。
- 健康保険や年金を切り替える
- 開業届を提出する
- 業務で必要な書類や道具を揃える
健康保険は会社を辞めた場合、国民健康保険へ切り替えなくてはなりません。同時に厚生年金から国民年金に切り替えも行いましょう。
そして開業届を提出します。開業届は税務署に提出する書類で、この書類を提出すれば税金対策で有利な青色申告が利用可能です。
ただし現在書類を持っていなくても、会計ソフトを活用すればかんたんに書類を作成できます。初めての方でも、項目を選んでポチポチ進んで行けばすぐに作れるのが魅力です。
事前に開業届と青色申告承認申請書を印刷しておきましょう。
同じく会計ソフトで業務に必要な請求書や領収書も、随時印刷ができます。日々の帳簿付けや確定申告時、かなりラクになるので会計ソフトの導入は必須です。
請求書や見積書、テンプレート類はMisocaというサービスもあります。ぜひ活用してみてください。
ほかにも必要書類の印刷ができるプリンター、計算機といった事務用品も揃えておくと業務がスムーズに運びます。
社会保険や税金について
フリーランスになると、今まで会社でやってくれていた税金の手続きを自分でやらなくてはなりません。
- 所得税
- 住民税
- 個人事業税
- 消費税
- 国民健康保険
- 介護保険料
所得税は所得の金額に応じ、税率が変わります。(195万円以下では税率5%、195~330万円以下なら10%といった具合です)
住民税に関しては地方税のため、地域によって税率が異なります。
個人事業税は、事業所得が年間で290万円を超える場合に支払わなくてはなりません。詳しくはそれぞれの自治体で確認しましょう。
消費税は前々年の売上が1,000万円を超えた場合に収めるため、しばらくは縁がないものです。
(しかし売上だけ大きくて利益が少ない業種の場合、消費税だけ大きく取られてしまう状態にもなります)
健康保険は、会社員の場合だと会社と折半です。しかしフリーランスの場合は国民健康保険に加入しなくてはならず、全額自己負担なので金額が大きくなります。
ほかにも介護保険料があり、40歳以上の方は納税しなくてはなりません。
上記のようにそれぞれ手続きが必要なため、事前に注意しておく必要があるでしょう。
フリーランスになるには確定申告の基礎知識が必須!なぜやらなきゃいけない?
よく確定申告と聞くけど、実際何をやったらいいかわからない…という方は多いですよね。
フリーランスのほか、副業で一定の収入がある方も確定申告は行わなくてはなりません。
やったこともないし不安という方でも、導入すると手続きが簡単になる会計ソフトについてもご紹介しています。
確定申告とは?
確定申告とは、1年間のお金の流れをまとめて国へ報告するものです。つまり自ら報告しなくてはならないため、国が勝手に計算してくれるものではありません。
会社員の場合、この業務を会社がやってくれます。年末調整という形で、書類を書いた経験があるはずです。
また副業を行っていても、所得の合計が20万円を超える場合は確定申告を行う必要があります。
確定申告を行う際は、所得税額を計算して決められた様式の書類にまとめなくてはなりません。
そのため月々の支出や計算をしておかないと、期日前になって慌てて計算しなくてはならないのです。
しかし多くのフリーランスはその業務を会計ソフトで自動化していたり、税理士さんに依頼して業務負担を軽くしています。
個人向け会計ソフトはフリーランスの心強い味方!
フリーランスの強い味方とも言われる会計ソフトは、今までの確定申告やフリーランスがデメリットに感じる事務作業を簡略化してくれました。
- やよいの青色申告 オンライン
- やよいの白色申告 オンライン
- freee
- 自動化でカンタンに書類作成 マネーフォワード クラウド確定申告
- HANJO会計
- ネットde記帳
例えば開業届もかんたんに作成できますし、ネットバンキング対応の銀行なら自動で支出を吸い上げてくれます。
さらにクレジットの連携も取れるため、副業用もしくは事業用に口座を分けておくと帳簿付けがスムーズです。
自宅を事務所として使っている場合、手入力が必要な場面もあるでしょう。しかし一定のルール付さえ設定してしまえば、あとは引き落としの際に自動で仕分けが可能です。
確定申告時も質問に沿って項目を埋めたり、入力したりするだけで印刷できます。直接届けてもいいし、電子申請や郵送という手段が選べるのも利点です。
ほかにも請求書や領収書の作成も行えるため、クラウド会計ソフトは導入しない理由がないくらい便利なものとなっています。
フリーランスになるなら知っておきたい!長く活躍できる人とは?
フリーランスになるなら、ぜひ知っておいてもらいたい項目があります。それは「長く活躍できる人の特徴」についてです。
もし独立したとしても、会社員の働き方とは全く違います。そのためある程度、どのような働き方が求められるのか知っておくと良いでしょう。
自己管理がしっかり行える人
フリーランスになると、自己管理が非常に大切な鍵となってきます。
案件をたくさん受けるのも自由、少なくするのも自由です。しかしいずれも自身の体調が整わなければ、引き受けた仕事をこなすこともできません。
従業員を雇っているなら別ですが、そうではない場合だと休んで遅滞が発生すれば相手方にも迷惑をかけてしまいます。
納期も決まっていることがほとんどなので、いつまでに何をどう仕上げるのかスケジュール管理も重要です。
そのため今抱えている仕事を複数並行して、その進捗に合わせて仕事量を調節できなければなりません。
またいくら頑張ったところで、品質にブレがあっては相手も仕事を発注しにくくなってしまいます。
仕事面と健康面、両方を高い次元で管理できる人こそ、フリーランスでも長く活躍できる人です。
確実・誠実な連絡や対応が行える人
基本的にフリーランスであっても、相手との信頼がなければ仕事は受発注しにくいです。
やはり収入が安定しなかったり、継続的な受注が見込めない方は下記のように「確実・誠実」が欠けています。
- 連絡、返信が遅い
- 質問への返答がない
- 納期を守れない
- 言葉遣いが失礼
- 謝罪ができない
上記の例を見て、「確かにこの状態であれば信頼を築けない」と思える方は安心です。
しかし筆者は実際に依頼する側として、上記のような行為をしてしまうフリーランスと出会う機会があります。
そういう方々はどうしても仕事の品質も低い傾向にあるため、どうしても信頼を寄せてお仕事をお願いするに至りません。
社会人として基本的なことができなければ、独立してもかなり厳しい状況となってしまうでしょう。
向上心が高く、納期を守り、質にこだわれる人
フリーランスになると、自分の行い一つが収入に直結します。安定もなく、常に変化することを要求されるでしょう。
そのためとにかく変化し続ける自分をイメージし、向上していかないと収入は減っていきます。安定を求めると確実に衰退するので、注意しなくてはなりません。
また意外と納期を守れないフリーランスは多いです。
クライアント目線で考えると、納期はある程度のゆとりを持っています。そのため多少の遅れは許容できますが、信頼関係の目線としてはあまりいい印象を持ちません。
できる限り納期は間に合わせる意識で挑んだほうが良いでしょう。第一線で活躍し続けるフリーランスは、納期を確実に守ります。そして質にこだわり、向上し続ける方ばかりです。
会社員の場合、多くの方が知らないうちにフォローしてくれています。しかしフリーランスとして独立すれば、そのすべてが自分ひとりの責任となるでしょう。
技術があれば活躍できるわけではないので、事前に意識を高めていくのが活躍できる人になれる第一歩です。
まとめ
フリーランスになるには、意外とやることが多いです。
とはいえ今まで会社がやってくれていたことがほとんどなので、実際に手続きをすると覚悟が決まる場合もあるでしょう。
現在では副業フリーランスとして、収入の基盤を作る方もたくさんいらっしゃいます。
いきなり独立を目指すよりも、現在の収入を維持しながら少しずつ挑戦していくのも十分良い方法です。
とくに税制面の知識は、一朝一夕で身につくものではありません。少しずつ勉強しながら実践していけば、独立時にきっと役立ちます。
そしてフリーランスは信頼が鍵です。現在会社で働いているのであれば、当記事を参考にしながら今の働き方を意識してみてください。
もし少しでも足りないな、と思うことがあっても大丈夫です。少しずつ準備をしていけば、必ず実績のあるフリーランスとして活動していけます。